web2.0時代の図書館、あるいはアーカイブ…その1

「web2.0時代の図書館、あるいはアーカイブとは」というテーマで何回かにわけてメモをつくっていこうと思う。このところホットな話題は図書館、といっても実体的な図書館ばかりではなく、ウェブ上に公開されているアーカイブ(デジタルアーカイブ)である。
私が勤務する神戸芸術工科大学では新図書館構想ワーキングが発足し、協同プロジェクトとして新しい図書館の「ブラウジング環境」の研究を始めている。といっても現在は情報収集の段階。先験的な取り組みを行っている施設、組織、プロジェクトなどについて文献を集め、ヒアリングなどを行っている段階。
以下のメモはあくまでも筆者が現段階での研究のためのポイントを列挙するもの。(文責:鈴木明)
1)パッケージ型情報とネットワーク型情報
図書館とは、パッケージ型情報(本、雑誌、ビデオ、DVDなど)のアーカイブである。つまりモノのアーカイビング(収集、収蔵、閲覧)を行う施設。本来、パッケージ型情報は個別で、それぞれの関連はアーカイビング技術(図書館情報学など)によって関連づけられる。
一方、ネットワーク型情報(ウェブ)は、それぞれ情報や情報の束が、それぞれ独立していてもネットワークされているためどこからでも閲覧や検索(アクセス)が可能であるし、検索技術など(タギング、rss、アグリゲータ)によって高度に関連づけ、閲覧することができるようになり、さらにパーソナルな閲覧のスタイルが自由に選択できるようになった。それが、つまりweb2.0時代のウェブ・アーカイブの特徴ではないだろうか。
そこで、ネットワーク型情報のアーカイビング技術、ブラウジング技術を充実させていくことが、web2.0時代の図書館あるいはアーカイブの主要なテーマということになろう。要するに、現在日々更新されているインターネットのプラットフォームを用いて、従来からの図書館を利用するような閲覧の技術(ユーザにとってみれば)の開発がまだ手つかずではないか、ということをいいたい。

2)アーカイブをつくる
新しいウェブの環境の発展は、このようなネットワーク型アーカイブをどのように利用するか、その利用によって何をやろうとしているのか、といった議論を抜きに進められてきたような気がしている。パッケージ型情報がどんどんデジタル化され、それがどこからでもアクセス可能となった時の将来に対する希望。あるいはウィキペディアのように大勢のユーザの貢献によって新たな知を生み出そうとする(フォークソノミー)試みが始まったときの不安。このような期待と不安は、そのアーカイブが容易く手に取れるようになることに比例して、その便利さだけがのこり、当初の知的な、あるいは文化的なパースペクティブは忘れ去られようとしているのではないか。ちょうど、公共図書館が普及するにつれて、ベストセラーの貸本屋がわりに思い込む図書館ユーザのように。
web2.0の特徴は、ユーザが高度なブラウジング技術(プログラム能力やソフトあるいは文字通り高度なブラウザ)に依存せずとも、アーカイブを「創る」ことができるようになった。いわゆるブログはだれでもアーカイブをつくることを可能としたし、YouTubeやFlickrに代表される公開された画像や動画アーカイブを利用することによって、そのリンクづけや編集によって、さらに高度なアーカイブを生み出すことも可能なはずである。
すこし前までは、ウェブ上にアーカイブをつくることは、既存の(パッケージ、アナログ)データをデジタル化することであったし、さらに、それをウェブ上に公開するために、さまざまな非ネットワーク型(デジタル、ネットワーク型ではない)社会の制約(著作権など)をどのようにクリアするか、どのようなブラウジングのための理論武装が必要であるか(レッシグの作業である)に、労力を費やしてきた。

  • 多摩美術大学図書館 (tamabi20061110.jpg)
    多摩美術大学図書館 (tamabi20061110.jpg)