7月上旬竣工予定の賃貸集合住宅「haramo2」のほか、現在進行中のプロジェクト、過去のプロジェクトを合わせて展示する。「haramo2」では原状回復義務という賃貸住宅につきものの制約の中で、住人が自由を獲得するための「セパ穴家具システム」をモックアップ展示する。
セパ穴家具システムの説明
昨年5月より取り組んできた賃貸集合住宅『haramo-2』が7月に竣工を迎えます。
計画地は昭島市という青梅線沿いの郊外で、賃貸事業としては利幅の狭い地域です。また、生活スタイルとしても郊外特有の大型ショッピングモールに依存する割合が強く、車があることでより生活を豊かにする地域です。そんな地域にその環境を精一杯享受できるガレージ付の郊外型賃貸集合住宅を作っています。それは近所のホームセンターなどで一時加工し持ち帰った部材を住人自ら工作し、内装に手を加えることの出来る賃貸住宅となります。
ただ、この地域の賃貸事情からするとガレージ分の躯体費は事業を確実に圧迫するため通常この地域の駐車場は青空駐車になります。したがって、この地域でガレージハウスを計画すること自体が一つの挑戦であり、その分、本計画では内装のしつらえを最小限に減らし、いわばスケルトン的な住空間になっています。そして、そのスケルトンの上に住人自ら手を加え希望に沿ったプランを住人自ら獲得してゆくことになります。ただ、通常の賃貸であれば当然、スケルトンであろうが、原状回復義務があり、床置きで計画せざるを得ず、さほど自由はえられません。
そこで、今回、展示する「セパ穴家具システム」が有効になってくるわけですが、これは、RCでは必要不可欠な型枠をとめるセパという本来なら埋め込まれ、何の用途も満たさないネジを埋めずに利用します。そして、そのネジに住人が好き勝手に家具を取り付けるという単純なシステムです。ただ、それが可能になったことで、我々設計者は賃貸住宅の設計においてしがらみとなる根拠のない「一般的に既存で~くらいは用意する必要である」というステレオタイプ的な条件を最小限まで抑えることが出来ます。
ちなみに、これは一例ですが、我々が描くこのシステムの利用方法としては、躯体に埋め込まれたセパに住人自ら任意にベニヤなどの板材を貼ります。それはいわば自由に手をつけられるインフィルで、自由に手をつけられるため、好きに家具を取り付け、不要になったら、そのインフィルごと捨てられるため、賃貸でありながら原状回復義務を気にして壁にモノを取り付けらないということがなくなります。
本展示で見られる、モックアップはその住人の創造活動の手始めとして、施主側で用意するもので、これは同じインフィルでありながら手をつけてはならないものとなりますが、このシステムの可能性は十分ご想像いただけるのではないかと考えております。
長坂 常